- ジャンル:
- まんがかんそうぶん
- シリーズ:
- 種類:
- 読みもの
- 最終更新:
- 2007年05月18日 22時59分
- シリアル:
- 2007-05-18-07
こうの史代はすごく勇気がある人だと思う。作品をデビュー作から(逆)時系列順に収録するだけならまだしも、基本設定を同じくする連作のオリジナル版とリメイク版を一挙に、しかもボツ原稿までまとめて収録するなんて、なかなか出来ることじゃない。成長の軌跡を如実に観察できるんだから、読者にとってはものすごく興味深い一冊だけど、作家からしたら、読者になるべく悟られたくない部分まで透けて見えるわけだから、人によってはものすごく嫌がるんじゃないだろうか。いや、もしかしたら度胸が座っているじゃなくて、岡っ引きにつかまった女スリが肌襦袢一枚で神社の参道にでーんと大の字で横たわって、こうなったら矢でも鉄砲でも持ってきやがれってんだ! と啖呵を切っているような破れかぶれな心境で出したのかもしれないけど。
この本の中にいるのはまぎれもなくこうの史代だ。だけど、僕らが今見知っているこうの史代ではない。ところどころに舞台の袖から裏側の様子がちらりと覗くような手管の甘さがあるし、安易さがある。しかし、これらの作品のなかには、やがてこうの史代として出来上がる要素の数々が、萌芽としてたしかに息づいている。緊張感のスカしかたとか、人物のポーズの取りかたとか、今のこうの史代ならたぶんこういう描きかたはしないだろうけど、なるほどこれはこうの史代だ、と納得できる要素が。
そういう意味では、この本はこうの史代ファンにとって必読と言っていい資料だろう。その分、ファンじゃない人が最初に手に取る一冊としては、やや不適か。前にも書いたけど、こうの史代に触れる最初の一冊を尋ねられたら、僕なら夕凪の街 桜の国を選ぶ。
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参考
- 『さんさん録』(1)──こうの史代 (2007/3/15)
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