- ジャンル:
- Big Huge Games, Game, Sid Meier's Game
- シリーズ:
- 種類:
- 読みもの
- 最終更新:
- 2007年02月11日 17時30分
- シリアル:
- 2007-02-11-02
Computer and VideoGames.comに、RPGの祖であるDungeons & Dragonsの歴史と、D&DがコンピュータRPG作品にあたえた影響、そして「ペンと紙のゲーム」がコンピュータに代替されていった経緯を解説する特集記事が掲載されています。
この記事は、もともとは雑誌PC Gamerに収録されたもの。こないだの「3DダンジョンRPG」話との関連で興味深い記事なので、ちょろっと紹介してみます。
- A Critical Hit - PC Gamer Magazine (CVG.com)
記事には、インタビューを受けたゲームデザイナーのひとりとして、Civilization IIやAlpha Centauri, Rise of NationsやRise of LegendsのデザイナーであるBrian Reynolds氏も登場。「あの時代、(D&Dは)ティーンエイジャーに対するキラーアプリのようなものだった」「当時、プログラム制作を学んで、『コンピュータがD&Dをプレイできるようにする』方法を探し求めるのは、ティーンエイジャーにとって聖杯探索に近い儀式だった。だってそれが可能になったら、ほかになにが必要だろう?」 当時の少年たちにとって、D&D をコンピュータ上で再現することは非常な夢であり、(ほとんどの試みは、当時のコンピュータの能力の限界もあって実現しなかったものの、)そこから学んだことが、ゲーム制作やデザインの基礎につながったのです。
また、Reynolds氏は、UltimaやWizardryといった初期のゲームが、「我々の求めていた経験にどれだけ近いものを造り出せているか」で評価されていたと発言。「我々の求めていた経験」とは、ここではもちろんD&Dのことです。「もしかしたら、我々はいまでも、ゲームをいくらかその方法で評価しているかもしれない」。
その後、CRPGは、Ultima IVから始まって、Planescape TormnetやDeus Exへ連なる、より複雑なストーリー性を持った作品と、Diabloのような戦闘に特化した作品に分離してゆきます。そして、「ペンと紙のRPG」は、コンピュータゲームでは決して獲得できないような即興性を備えていたものの、コンピュータの計算能力と、ほかのプレイヤーのムードや能力にかかわらず進んでゆく、機械の「実際的な手厚さ」(actual attentiveness) は、多くのプレイヤーにとって、TRPGよりも魅力的なものでした。
(訳者:ここでは、TRPGにおける、一部のプレイヤーがちやほやされたり、GMが恣意的にゲームをコントロールする流れが嫌われたと指摘されている)
しかし、CRPGとTRPGはの関係は切れたわけではなく、たとえばNeverwinter Nights 2を制作したObsidianのChris Avellone氏は、実際にビデオゲームを制作し、プロットを実装する前に、D&Dを使って彼の作品をテストプレイしてみると言います。即座にプレイヤーからのフィードバックを得られるので、これはとてもためになるとか。
いっぽう、今日には、いちどもテーブルトーク版のD&Dをプレイしたことがなく、ビデオゲームからインスパイアを受けたCRPGデザイナーも存在します。大評判を巻き起こしたインディーズ系の作品、Dwarf Fortressのクリエイター、Adams兄弟もそのひとり(……じゃないや、ふたりだ)。「僕らはRPGをプレイし始める前に、アーケードやPC, AtariやVic20のゲームをプレイしていた。ペンと紙のD&Dを知る前に、D&DをベースにしたPCゲームをプレイしていたから、デザイン上の影響は特に受けなかったな。D&Dには、コンセプト的にあたらしいものはまったく無かったから」
Adams兄弟によると、D&Dの中核概念は、すでにビデオゲームの内部で完全に近いほど新陳代謝されていると言います。これは過去を知る者にとっては寂しい話ですが、かつてGary GygaxとDave Arnesonによって考案されたD&Dの概念が、CRPGの内部にあまねく遍在していると言っていいほど浸透したとも言えます。そしてD&Dの精神は、これからもCRPGのなかで受け継がれてゆくのでしょう──おそらくは永遠に。
参考
- 3DダンジョンRPGは死んでないよ。進化しただけだよ (2007/1/20)