感想:本『性語辞典』──柴田千秋(編)

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ジャンル:
かきもの
シリーズ:
種類:
データ/資料
最終更新:
2005年09月13日 14時47分
シリアル:
2005-09-11-02
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  • 河出書房新社(1998-12)
  • ¥ 1,995
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河出書房新社から1998年に刊行。性に関する用語を、性器周辺の呼称を中心に収録した辞典。二段組みで総ページ数384ページ。内外の古典文学や官能小説、漫画、週刊誌やスポーツ新聞などで使用された用語が収録されている。用語の意味も簡単に記載されているが、性全体に関する用語辞典というよりも、性器の類語辞典としての性格が強い。

感想

「お風呂場で全裸でいるところを男性に見られたら、女性はどこをいちばん最初に隠すか」という質問がありますよね。文化による羞恥心の違いを説明するとか言う。この質問の男性向けのバージョン、つまり「お風呂場で全裸でいる女性を見つけたら、あなたはまずどこを見つめますか?」という質問がもしあったとしたら、この辞書を編纂したのはまず女性の下半身を見つめる人です──それもすごく執拗に。

この辞書に収録されている用語は下半身に集中しています。二段組みで陰茎の項目だけで5ページ、女陰に至っては9ページが割かれているのに、「乳首」の項目は3行だけだし、「胸」や「乳首」に関しては項目すら存在しません。

文学作品の比喩表現、それも文脈に依存する隠喩が多く収録されている点と、週刊誌や新聞の記事から収録された、一般性を獲得できないまま消えてしまった時代依存性の強い表現がそのまま収録されている点を考慮すると、実用性がどの程度あるかは微妙です。こういう用語を大量に必要とする官能小説の執筆者にとってすら、想像力を喚起されるところはあるでしょうが、実用的に参考にできる用語は全体の半数程度だと思います。

この辞書から強く感じられるのは、観光地の秘宝館もしくは探偵ナイトスクープで紹介される「パラダイス」的な、個人の偏執の集大成です。案外、辞書という形式でろ過された偏執を怖いもの見たさで楽しむ──というのが、この辞書のいちばん正しい用法であるのかもしれません。